all wear bowlers

all wear bowlers. Created and performed by Trey Lyford and Geoff Sobelle, directed by Aleksandra Wolska.
september 23-october 28, 2005, Kirk Douglas Theatre.
-以下ネタバレ有りです-

e0079475_252527.jpgロサンゼルス市の南側にあるカルヴァーシティー市に、カーク・ダグラス劇場という感じのいい劇場がある。座席数は、世田パブのシアター・トラムよりちょこっと大きいかな?という程度かと。この劇場については、またおいおいここできちんとレポートするとしてー。
 この劇場の2005-6シーズンの皮切りが、all wear bowlersという舞台。昨日24日、見に行ってきた。ニューヨークやらフィラデルフィアやら、全米をあちこち巡っているらしく、公演のオフィシャルサイトを見ると、劇評記事が満載なり。 (右写真:ちらし&サイトより)e0079475_3531810.jpg
 久しぶりで、舞台らしい舞台を見られてまずは嬉しかった。そして、けっこう、楽しめた。まず冒頭で、サイレント映画が上映されるんだけど、トーキー到来前のサイレントのタッチそのままの映像で、そこに描かれているのは、一本の木といい、チャップリンさながらの二人の放浪の紳士といい、いかにもベケットの「ゴドーを待ちながら」の世界そのままというところ。で、この二人が、どういうわけかスクリーンからはみ出し、劇場にいる我々観客と「遭遇」する、という設定。そして、彼らがわたしたち観客を眺めて遊んでいる間に、彼らの「正しい」居場所であるべき映像の世界が、フィルムが焼けたためにストップしてしまい、二人は「スラップスティック&マジカルな演劇界に取り残され路頭に迷う(ニューヨークタームズ劇評より)」ことになる。そのあと、わたしたち観客は、クラウンとしての彼らの芸を楽しんだり、彼らとわたしたちの次元のズレにまつわるギャグに付き合わされたりする。二人が「劇場」から逃げようとして舞台を降り客席を縦に跨ぎつつ非常口まで這い上がったり、前のほうのお客さんは舞台上に乗せられたり(←かならずしもやらせには見えなかった)、スポットやらフラッシュやらが客席に向かってカッと向けられたりするから、観客も、ただ漫然と座席に腰を下ろしていればいいわけでもなく、参加者意識を若干なりとも強いられる仕掛け。e0079475_3224152.jpgでも、劇場入り口には、「フラッシュ、銃声などを含みます」の張り紙が(写真)があって、観客がびっくりしないよう配慮がなされている。フラッシュだのストロボだのがあるって先に言っちゃうと、設定バレバレでつまんないのに、と思いつつ客席に座ったところ、客層(ワカモノ層少なし)を見て少々納得。心臓麻痺でも起こされたらそれこそ裁判沙汰ってことか。
 一言でいうと、品のいいシュールなヴォードヴィル、というところ。アイディアじたいに新奇なものは特段なかったけれど、見ててほっとした、なんか。何にほっとしたかというと・・・。なんというか、先人にたいする敬意みたいなものが前提にあるからではないかと思う。スクリーンから抜け出るとか、マジックをギャグっぽく使ったりとか、最後のほうで舞台上の緞帳全部落としてバックステージ丸見えにするとか、人形ぶりとか、特撮映画のキャラのパクリとか、いろいろな手法があったけど、そういうの全部、嫌味なくきっちりギャグとして成立させている裏側には、もとあるいろいろなジャンルの表現芸術への敬意と理解、それからその敬意を表現できるだけの芸があるってことで、それが、古い人間であるわたしには、心地よかったんだと思う。
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by la37_losangeles | 2005-09-26 03:56 | パフォーミング・アーツ


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